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フィルムを喰らう!~感情中毒の巣窟~

好きすぎて中々見られない「凶暴な純愛」映画『Léon(レオン)』

好きすぎて中々見られない「凶暴な純愛」映画『Léon(レオン)』

好きすぎて中々見られない映画

あなたには、好きすぎて、もしくは影響を受け過ぎるあまり、見るのに相当の気合がいる映画はあるでしょうか? 筆者にとってそれが、リュック・ベッソン監督の『Léon(レオン)』です。

この映画を最初に観たのは、20年以上も前。ベッソン監督の母国であるフランスの小さな映画館でしたが、誘ってくれた友人と二人して号泣し、泣き疲れて一言もしゃべらず黙々と寮に帰ったのをいまでも覚えています。その時の衝撃があまりにも強かったせいでしょう。つぎに観るまでに、10年以上かかりました。

こう書くとどんな感動的なストーリーなのかと思われるでしょうが、この映画は中々ハードな内容です。

主人公は、ジャン・レノ演じるレオンという名の殺し屋。淡々と請け負った殺しを完遂し、場末の映画館で上演される古いモノクロ映画を観る時以外は、観葉植物とともに小さなアパートで身体を鍛え、自分で作った食事を取るなどして過ごす寡黙な男。その殺し屋が、たまたま同じアパートの同じ階に住む美少女マチルダを助けたことから、物語は動き出します。

ちなみにいま「助けた」と書きましたが、ナタリー・ポートマン演じるマチルダが買い物で不在中に家族全員が皆殺しにされ、彼女が逃げ込んだ先が顔見知りレオンの部屋だったと言うだけで、しつこく呼び鈴を鳴らし続ける彼女に、レオンは負けたわけです。

殺し屋と美少女の奇妙な共同生活

幼かった弟を殺されたマチルダは復讐を決意し、大胆にもレオンに協力を求めます。最初は渋っていた彼ですが、結局、文字を教えてもらうこと(実は彼は文盲でした)などを条件に、マチルダの復讐に手を貸します。

そして始まった、いかついオヤジとコケティッシュな美少女の奇妙な共同生活。体力づくりの腹筋にすぐ根をあげるマチルダのシーンや、小さな机に屈みこみ、彼女が読み上げる文字を真剣に書きとるレオンのシーンなどは、殺伐としたシーンが多いこの映画の一服の清涼剤。特に二人して映画のワンシーンを再現し、誰だかあてっこし合うシーンは二人が気を許し合っているのが判り、ほっこりします。

そんな風に穏やかな生活が続けば良かったのですが、人生はそんなに甘くなく。

家族を殺した男を街で見かけたマチルダがつけてみれば、相手は現職の麻薬捜査官で、尾行もばれていました。その捜査官スタンスフィールドを演じるのはゲイリー・オールドマンなのですが、麻薬捜査官なのに麻薬中毒というキレっきれの演技が見事です。

その後のマチルダ達の逃亡劇、警察とレオンの死闘、スタンスフィールドとの対決がどうなるのかは、ご自分の目でお確かめ下さい。

「 ハッピー」エンドではないけれど

こうして改めて粗筋を追ってみると、さすが女殺し屋の日々をつづった『ニキータ』の監督、リュック・ベッソン作品。『Léon』には血と硝煙と人生の苦みに満ちています。

「いい人」はひとりも出てきませんし、終り方もハッピーとはいえません。それでもこの映画にわたしは、愛を感じる事ができます。そしてマチルダはその愛を胸に、これからも生きていけるのではないかと思うのです。

ちなみに、この映画の日本公開時のキャッチコピーは「凶暴な純愛」。殺し屋レオンと危うい魅力に満ちた美少女マチルダの純愛、どうぞ箱ティッシュを用意してご覧ください。

作品情報

原題:『Léon』
出演者:
監督:

ABOUT THE AUTHOR

Hiro Miyama
はじめまして。作家兼ライターの海山ヒロ(みやまひろ)と申します。

物心つく前から映画好きの両親に連れられ、映画館へ。そして家族のだんらん時に見ていたのは、各放送局の洋画劇場でした。おかげでしっかり映画好きに育ったわたしは、今日もまた、世界の片隅で映画への愛をこうしてつづっています。

ついつい口ずさみたくなる様な音楽に、悲喜こもごもの物語。そして素晴らしい衣装や舞台装置に夢のような風景が詰まった映画は、総合芸術です。
そんな数々の名画達に出会うお手伝いを、すこしでも出来れば嬉しいです。
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