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ハマる人ははまるダーク・ミステリー映画『ドラゴン・タトゥーの女』

ハマる人ははまるダーク・ミステリー映画『ドラゴン・タトゥーの女』

原作は社会現象を巻き起こした

この映画は、全世界で3300万部も売れたスティーグ・ラーソンのベストセラー小説が原作のミステリーです。先にスウェーデンで映画化され、ついでハリウッドで製作されました。公開当時は日本でもやたらと宣伝されていましたから、ご存知の方が多いかもしれませんが、あらすじをご紹介しましょう。

雑誌「ミレニアム」の発刊者にして記者であるミカエルは大物実業家のスクープをものにしたものの、名誉棄損で訴えられ、敗訴。全財産を失ってしまいます。

失意の中で声をかけて来たのは、彼を訴えた実業家とは敵対する大物実業家で、一族の謎を解明してほしいと言うのです。見返りは、彼が敗訴した裁判を逆転させる証拠。悪い話ではないと思ったミカエルですが、その謎が40年前に行方不明になった少女のことであり、その実業家は一族の誰かが殺したと信じているというので、難色を示します。

「一人では無理、助手がいる」と申し出た彼に紹介されたのが、ドラゴンの刺青を背負った天才ハッカーのリスベット。痩せこけたピアスだらけの彼女とともに謎を解くべく、実業家の一族が暮らす孤島へ向かったミカエルを待ち受けていたのは―――。

好みが分かれる映画

記者のミカエルを演じるのは、「青い目の007」。刺青の女を演じるのは、ルーニー・マーラです。

ダニエル・クレイグの方は007に比べれば哀愁漂うおじさんの外見ですが、そこは不倫相手がいるなど、男の色気は健在。びっくりしたのはルーニー・マーラの方です。アシンメトリーにした黒髪の下には、剃ったのかほとんど見えない眉毛に痩せこけた頬。

元々華奢な体格の彼女ですが、このリスベット役ではほとんど欠食児童のような体型。見開かれた大きな瞳がこちらを睨みつけてくるその姿は、手負いの野獣のようで、話が進むうちに明らかになる彼女の壮絶な人生のせいなのだと哀しくも納得してしまえました。

彼らが追う実業家一族の謎は、探るたび暗い深みにはまるようで、舞台であるスウェーデンの雪景色とあいまって、寒々しい心地にされます。また、ハリウッド製とはいえ派手な銃撃戦やカーチェイスはほとんどなく、コツコツと事件の資料を探していくミカエルとリスベットの姿は、英国の探偵映画を思わせます。そして、挿入されるリスベットの過去は暴力に満ちており、時に目をそむけたくなるほどですから、好みが分かれる映画です。

スウェーデン版には続編あり

ちなみにスウェーデン版の映画は原作とのつながりを表現したかったのか、『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』という題名。

ミカエルを演じるのは、スウェーデン俳優のミカエル・ニクヴィスト。リスベットは同じくスウェーデンの俳優で、現在はハリウッドで活躍中のノオミ・ラパスが演じています。

彼女のリスベットも強烈で、両耳だけではなく鼻にも太いリングのピアスをふたつ、顔の半分以上をおおう前髪の間からのぞく黒い目がこちらを凝視する、全身黒装束のあの姿は忘れられません。それまで華やかな容姿を活かした役が多かっただけに、映画公開前までは彼女のリスベット役には賛否両論あったのですが、その狂気とも言える目線で黙らせました。

スウェーデン版とハリウッド版は筋書きこそ一緒ですが、スウェーデン版の方がよりドキツイといいましょうか。原作の持つダークな面が、より強調されている気がします。そしてスウェーデン版は『ミレニアム2 火と戯れる女』『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』とシリーズ化しておりますので、この映画にハマった方はそちらもどうぞ。

作品情報

原題:『The Girl with the Dragon Tattoo』
出演者:
監督:
原作:『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』著

ABOUT THE AUTHOR

Hiro Miyama
はじめまして。作家兼ライターの海山ヒロ(みやまひろ)と申します。

物心つく前から映画好きの両親に連れられ、映画館へ。そして家族のだんらん時に見ていたのは、各放送局の洋画劇場でした。おかげでしっかり映画好きに育ったわたしは、今日もまた、世界の片隅で映画への愛をこうしてつづっています。

ついつい口ずさみたくなる様な音楽に、悲喜こもごもの物語。そして素晴らしい衣装や舞台装置に夢のような風景が詰まった映画は、総合芸術です。
そんな数々の名画達に出会うお手伝いを、すこしでも出来れば嬉しいです。
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