むびれぽ

フィルムを喰らう!~感情中毒の巣窟~

これがあたしの生きる道。愛することの真理を描いた名作恋愛映画『モロッコ』

これがあたしの生きる道。愛することの真理を描いた名作恋愛映画『モロッコ』

名作中の名作

世に名作と名高い映画は色々ありますが、この作品は必ずベスト・テンに選ばれるだろう、名作中の名作品です。日本で公開されたのが1931年のモノクロ映画ですから、筆者はもちろん映画館で観た事はありません。でも叶う事ならば、大画面で観たい映画です。

最初に観たのは……あぁ、大学の図書館で、ですね。授業中の雑談で教授が紹介し、作品の名は知っていたものの、観た事がなかったので視聴覚室で観たのでした。いまは懐かしのVHSのカセットテープをセットして。ヘッドホンをして、20インチもないような小さな画面に屈みこむようにして。

で、開眼させられたわけです。

マレーネ・ディートリッヒをはじめとする、銀幕のスターたちの圧倒的な存在感に。

ゲーリー・クーパーの美しくも暗い瞳に。

モロッコの砂漠の光景に。

そこで刹那的に生きる男と女の、どうしようもない愛に。

くらりと、堕とされてしまったのです。

良くある恋愛映画? ……とんでもない!

あらすじを簡単にご紹介しましょう。

映画の舞台は、モロッコ。地中海に面したどこか退廃のかおりする街で、男と女が出会います。男は、フランス外人部隊の兵士・トム。女は、ナイトクラブの歌手・アミー。

ゲーリー・クーパー扮するトムとマレーネ・ディートリッヒが演じるアミーは共に流れ者であり、目と目があった瞬間惹かれあいます。しかし似た者同士であるがゆえに、一度歯車が狂えばぶつかり合うのもまた必定。心にもない言葉をぶつけあい、アミーは別の男と付き合います。

その男・ベシエールは金持ちでアミーに惚れぬいており、美しい宝石や愛の言葉をおしみなく降り注ぎ、アミーは「女の幸せ」を手に入れたかに見えたのですが、トムの所属する部隊が最前線に移動すると聞いて――――――。

はい、こうしてあらすじだけ読むと、砂漠の砂のごとくある恋愛映画の一つとしか思えませんよね。でもこの映画が名作たるゆえんは、その「ありふれた」ストーリーを使いつつも、ありふれてなんかいない、口はばった言い方をすれば誰かを愛することの真理の一端を突いているところなのです。

ロケ地は何処だ……?

初めて観てからすでに20年は経過していますが、いまだに脳裏に焼き付いているシーンがいくつもあります。

ナイトクラブで、タキシード姿のアニーが歌っています。その艶姿によろめいてしまいそうですが、その後さらに衝撃のシーンが! 何が衝撃だったかは、ご自分の目でお確かめ下さい。

それから映画のポスターにも使われていた、アニーとトムの抱擁シーン。美男美女が一緒にいるとこれほど絵になるものかと唸らされます。そしてそれ以上に、マレーネ・ディートリッヒのうっとりとした表情がもう……! 彼女ほどの美女に抱きつかれているのに、一見無表情に見えるゲーリー・クーパーのそこだけ燃えている瞳もイイ。素直じゃないんだからこのぉ! と、後ろからど突きたくなります。

そしてそれ以上に魅了されたのが、砂漠の美しさ。この作品のロケ地がどこなのか、当時必死に探しましたが解りませんでした。20年前はウィキもグーグルもありませんからね。同じようにモロッコを舞台にした『カサブランカ』は、アメリカのオールスタジオ撮影。まさかこれも……?

いやいやいくら映画の魔法があるとはいえ、あの熱い空気がスクリーンのこちら側にも伝わりそうな砂漠は本物に違いない。カリフォルニアで撮影されたとも聞いたけれど、あそこにだって砂漠はある。それにモロッコには他にもマラケシュなど、映画で使われた場所が沢山ありますから、ぜひ行って、自分の目で確かめるとしましょう。

そうだ。あなたも一緒に、どうですか?

作品情報

原題:『Morocco』
出演者:
監督:

ABOUT THE AUTHOR

Hiro Miyama
はじめまして。作家兼ライターの海山ヒロ(みやまひろ)と申します。

物心つく前から映画好きの両親に連れられ、映画館へ。そして家族のだんらん時に見ていたのは、各放送局の洋画劇場でした。おかげでしっかり映画好きに育ったわたしは、今日もまた、世界の片隅で映画への愛をこうしてつづっています。

ついつい口ずさみたくなる様な音楽に、悲喜こもごもの物語。そして素晴らしい衣装や舞台装置に夢のような風景が詰まった映画は、総合芸術です。
そんな数々の名画達に出会うお手伝いを、すこしでも出来れば嬉しいです。
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