むびれぽ

フィルムを喰らう!~感情中毒の巣窟~

長年、実写映画化不可能と言われた作品『ロード・オブ・ザ・リング』

長年、実写映画化不可能と言われた作品『ロード・オブ・ザ・リング』

技術の進歩によって実現した実写化

「自分達が楽しめる物語がない」と嘆いた英文学教授のトールキンが10年以上かけて書いたファンタジーの金字塔、それが『指輪物語』です。世界中に熱烈なファンがいる作品で、その壮大な世界観、数え切れないほどの登場人物、時にとらえどころのない物語の展開から、長年実写映画化は不可能な作品であるとされてきました。
しかし、この20年で映像技術は格段の進歩を遂げました。映画ファンにとって、そして原作ファンにとっても嬉しい事に、原作のイメージを損なわないどころか想像もできなかった奥行きのある映像で、3部作全てが実写化されたのです。その記念すべき第一作が、『ロード・オブ・ザ・リング』です。

原作を読んでいなくてもハマる作品

こんな風に説明していますが、実は筆者は、映画を観るまで『指輪物語』を読んだことはありませんでした。かつて挑戦したことはあったのですが、先の読めない展開と古めかしい日本語訳がどうしても好きになれず、数ページ読んで本を閉じました。ですから映画を観た時は筋をなんとなく知っていたものの、熱烈なファンでは全くなく。映画自体も、「話題になっていたから」と3部作の最後をやっと観に行ったという状態だったのです。
そして、見事にハマりました。壮大なストーリーに実写とCGの見分けがつかないほど見事な映像、身体の隅々まで沁みわたる音楽。映画の中盤で嗚咽をこらえるのに苦労し、ハンカチはもはや役に立たず、目をはらして映画館を後にし、その足で前2作をレンタルしに行きました。最終的には3作品のスペシャル・エクステンデッド・エディション版DVDBOXを購入し、いまでも時折お菓子とお茶を用意して、一気見を楽しんでいます。

最も小さき者が世界を救う

『ロード・オブ・ザ・リング』の世界観はたしかに壮大ですが、ものすごく単純化してしまえば、一人の若者が指輪を捨てに行く物語です。若者はホビットという、食べることと楽しい事が大好きな種族で、その種族の中では冒険心に富んでいる方でしたが、至って穏やか。英雄になりたいとも、世界を救いたいなんて大それた野望を持った事もなく、偶然指輪を受け継がなければ、生まれ故郷で何の波瀾もない、幸せな一生を送った事でしょう。
そんな若者が旅の間に、御伽噺でしか見聞きしたことがなかった光景や種族に出会ったり、闘ったり、死にかけたり、自分の闇にとらわれそうになったりします。ホビットは物語に登場する種族の中では一番小柄で、エルフのように不老不死でもなければ、人間のようにずる賢くもなく、ドワーフのように力が強いわけでもありません。それでも彼は世界を破滅させるという指輪をその手に握り、一歩一歩自分の足で気の遠くなる様な旅路を進んでいくのです。そんな彼のひたむきな姿に、旅の仲間達だけではなく観ている我々も応援したくなります。

「中つ国」は実在した

『指輪物語』を実写化すると言う快挙を成し遂げたピーター・ジャクソン監督ですが、「たぶんこれ以上のものを自分は創れないだろう」と言っています。そしてその言を引き合いに出すまでもなく、本作品とそのシリーズは、いままでのファンタジー映画とは明らかに違います。メイキングを何度も観たのだからあれが映像マジックの産物だと分かってはいるのに、あの世界はかつて実在し、いまでも撮影されたニュージーランドに行けばその片鱗を感じることができる。そんな風に思ってしまえる作品です。
本当ならば、映画館の大画面で見るべき作品。けれど、自宅のテレビでも十二分に楽しめ、いつの間にかあの世界の住人になってしまう作品です。どうぞ主人公と一緒に、旅路を楽しんでください。帰ってこられるかどうかは……あなた次第です。

作品情報

原題:『The Lord of the Rings: The Fellowship of the Ring』
出演者:
監督:
シリーズ作品:『』『
原作:『指輪物語』J・R・R・トールキン著

ABOUT THE AUTHOR

Hiro Miyama
はじめまして。作家兼ライターの海山ヒロ(みやまひろ)と申します。

物心つく前から映画好きの両親に連れられ、映画館へ。そして家族のだんらん時に見ていたのは、各放送局の洋画劇場でした。おかげでしっかり映画好きに育ったわたしは、今日もまた、世界の片隅で映画への愛をこうしてつづっています。

ついつい口ずさみたくなる様な音楽に、悲喜こもごもの物語。そして素晴らしい衣装や舞台装置に夢のような風景が詰まった映画は、総合芸術です。
そんな数々の名画達に出会うお手伝いを、すこしでも出来れば嬉しいです。
Return Top