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フィルムを喰らう!~感情中毒の巣窟~

乙女のバイブル小説の実写化『赤毛のアン アンの青春』

乙女のバイブル小説の実写化『赤毛のアン アンの青春』

誰もが一度はあこがれた。

ため息の泉。想い出の小道。馬車に揺られながら見上げた木漏れ日。レースのリボンにハンカチーフ。そして、歩くたびに優しげにゆれるモスリンのワンピース……。

そんな甘い、あわい少女の夢がいっぱいに詰まったような赤毛の少女の物語に、誰でも一度はあこがれたのではないでしょうか? ちなみに筆者は高校生の頃ドハマリしまして、モンゴメリの原作シリーズを文庫ですが読破。更にはそれまでモノトーンだった自室にレースの敷きものだの、カントリースタイルの宝石箱だのをコマコマ買ってきては飾り、うっとりしていました。

 アンの青春』は、その『』の実写映画、第二弾です。

一作目ではマリラとマシュー兄妹にひきとられ、アヴォンリーの大自然の中ですくすく育つ夢見がちな少女だったアンが、本作では一流私立女子校の教師として、夢見る少女達を指導しています。しかも大人の女性となった彼女には空想ではなく本物の恋のお相手も現れて、さらにそれがお金持ちのイケメンで……。

あら。こう書いていくと、さすがは乙女のバイブルの実写化。続編になっても相変わらず女の子の夢(妄想)一杯です。

原作と違う点もありますが。

映画はキャラクター造形や舞台を、かなり原作に忠実に描いています。何しろ原作の舞台であるプリンス・エドワード島でロケを行っていますから。アンを演じたミーガン・フォローズやギルバートを演じたジョナサン・クロンビーも、少なくとも筆者にとっては文句なしのキャスティングでした。

原作と違う点は、恋のお相手。原作ではアン達と同年代の「王子様のように美しい」青年となっていますが、映画では教え子の父親です。でもその方が彼女らしいと言うか、物語としてしっくりくると言うか。原作の通り大学生のアンならば同年代と恋に落ちるのも解りますが、映画のように寄宿学校の教師をしているのであれば、出会いは限られます。

そして『アンの青春』は少女から大人の女性への成長物語でもありますから、幼友達のギルバートと新たに出会った大人の男との間で揺れ動く乙女心……。あぁローマンス。これぞ青春。そして大人の男、恋のお相手を演じた俳優さんは、金髪碧眼長身痩躯。シルクハットにタキシードがとてもお似合いのナイスミドルでしたから、子持ちの男やもめであろうと、まったく問題ないでしょう。

ネタバレになりますが、そんな素敵なおじ様を振り切って、アンは結局ギルバートを選びます。しかもその想いに気づくのはギルが病気で死にかけた時だなんて……。あぁもうお約束てんこ盛り。でもそこがいい。それでこそ乙女のバイブルです。

3作見るかどうかはあなた次第

』の実写映画は合計3部作。元々テレビ映画として放映されたものをダイジェスト化して劇場公開されました。今回ご紹介した2作の他に『アンの結婚』があります。とはいっても、こちらは原作からかなり離れたストーリー展開で、時代背景も第一次世界大戦とシリアスなもの。ですから原作の世界を大事にしたい方には、あまりお勧めはしません。

酸いも甘いも苦いも全部味わってこそ映画ファン。そんな大人のあなたならば、ぜひ3作コンプリートしてくださいませ。少女から美しい大人の女性へ、そして大家族を支える母となったアンに出会えます。

作品情報

原題:『Anne of Green Gables the Sequel』
出演者:
監督:
原作:『アンの青春(原題:Anne of Avonlea)』ルーシー・モード・モンゴメリ著
シリーズ:『』、『 アンの結婚』

ABOUT THE AUTHOR

Hiro Miyama
はじめまして。作家兼ライターの海山ヒロ(みやまひろ)と申します。

物心つく前から映画好きの両親に連れられ、映画館へ。そして家族のだんらん時に見ていたのは、各放送局の洋画劇場でした。おかげでしっかり映画好きに育ったわたしは、今日もまた、世界の片隅で映画への愛をこうしてつづっています。

ついつい口ずさみたくなる様な音楽に、悲喜こもごもの物語。そして素晴らしい衣装や舞台装置に夢のような風景が詰まった映画は、総合芸術です。
そんな数々の名画達に出会うお手伝いを、すこしでも出来れば嬉しいです。
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