むびれぽ

フィルムを喰らう!~感情中毒の巣窟~

原作と映画のあいだ~読んでから観るか。観てから読むか。

原作と映画のあいだ~読んでから観るか。観てから読むか。

原作のある映画は多いけれど……

オリジナルの脚本で作られる映画ももちろんありますが、マルチメディア戦略の影響か、それとも一定の観客を確保する為か。最近の映画は、小説に漫画やアニメを原作にしたものが多くなりました。

例えば、映画『ダ・ヴィンチ・コード』をはじめとした象徴学者が世界を救う「ラングドンシリーズ」は、ダン・ブラウンのベストセラーが原作。

クラウドソーシングで製作費を集め、口コミで大ヒットを掴んだ『この世界の片隅に』も、映画で使われている絵そのままの漫画が原作です。

他にも興隆著しいアメコミを原作とした、『スパイダーマン』や『アイアンマン』シリーズなど、あげれば切りがありません。

このように原作のある映画が多いわけですが、原作と映画がまったく同じように描かれているわけではないことを、皆さんご存知でしたか?

原作は想像の宝庫

まず原作は、それが漫画であろうと小説であろうとアニメであろうと、2次元の世界です。紙もしくはセルの上に描かれた空想の世界。その世界でそれぞれの作者が生んだキャラクター達が語り、食べ、喧嘩したり寝たり銃をぶっ放して暴れまわったりしていますが、彼らが実際どんな声で、どんな姿をしているかは、ある程度読み手にゆだねられています。

もちろん漫画の場合は画がついていますし、アニメの場合はさらに声優さんがそれぞれのキャラクターについていますから、ある程度イメージは固定されます。けれどそれが文章のみの小説の場合、読み手はいくらでも想像(妄想とも言えます)の翼を広げられるわけです。その余地をあえて残そうとしているのか、人物の外見描写が極端に少ない物語もあります。

映画ならではの制限

そんな原作に対し、映画(アニメ以外)は3次元の世界です。そして、2次元の原作にはない強い制限があります。それが、上映時間。

かつて映画が最大の娯楽であった時代は、トータル3時間ごえの長編映画もつくられていました。それらの映画はオペラや演劇と同じくように休憩を途中ではさんで上映されていましたが、その間お客さんは優雅に軽食を取ったり友人たちとおしゃべりしたりして、再開のブザーが鳴ればまたきちんと席に戻り、続きを観てくれたわけです。

そんな黄金時代は二度と来ないでしょう。Lineやツイッターやスマホのソーシャルゲームに気を取られ、たった数分の乗車時間でも、歩いている間も小さな画面にくぎ付けの現代人は、せいぜい90分、どんなに頑張っても2時間くらいまでしか集中してくれないでしょうから。そしてたった2時間の制限時間では、それが短編であろうと長編であろうと、原作の持つ複雑で豊かな物語のすべては、到底再現しきれません。

予算と「現実」の壁

さらに実写映画には、原作にない制限があります。それが、予算と「現実」の壁。

どれだけ奇想天外な物語でも、贅をこらした設定でも、2次元の世界でなら可能です。必要なのは想像力のみ。しかしそれを目に見える形で創らねばならない映画は、常に予算や現実の壁と闘っています。CGやVFXの進歩により、かつては実写化不可能と言われた『指輪物語』などのファンタジー巨編も映画化されました。しかしそれらの映画も、生身の俳優さん達が演技をし、セットやロケ撮影により空想を「現実」の世界に創りだしているのです。

著者は『指輪物語』の映画化である『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの大ファンで、全てコレクターズボックスを持っていますが。その特典としてついている本編よりも数倍長いメイキングを観れば、それがどれほどの難事業であったのかが良く分かります。まぁ製作に携わっている人すべてが、観ているこちらがうらやましさに歯がみしたくなるほど、実に楽しそうではありましたが。

物語をより楽しむために

とまぁこんな風に長々と書いてきましたが。原作と映画はそれぞれ別ものであると言う事です。原作を読んで想像していた登場人物と、その役を演じる俳優さんのイメージが違うこともあるでしょう。予算の都合か製作上の都合か、「ここが観たかったのに~」という部分がまったく描かれていないこともあるでしょう。それどころか、原作と映画でエンディングや犯人がまったく違うということもあるのです。

さてさて、それを踏まえたうえで。あなたは原作を読んでから、映画を観ますか? それとも、観てから読みますか? 「原作のイメージを壊したくないから、映画化されても観ない」。それもありでしょう。

でももしあなたが大好きな映画に原作があって、まだそれを読んでいないとすれば。読めばきっと、ずっと、もっと。その物語を楽しめるようになると思いますよ。

ABOUT THE AUTHOR

Hiro Miyama
はじめまして。作家兼ライターの海山ヒロ(みやまひろ)と申します。

物心つく前から映画好きの両親に連れられ、映画館へ。そして家族のだんらん時に見ていたのは、各放送局の洋画劇場でした。おかげでしっかり映画好きに育ったわたしは、今日もまた、世界の片隅で映画への愛をこうしてつづっています。

ついつい口ずさみたくなる様な音楽に、悲喜こもごもの物語。そして素晴らしい衣装や舞台装置に夢のような風景が詰まった映画は、総合芸術です。
そんな数々の名画達に出会うお手伝いを、すこしでも出来れば嬉しいです。
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