むびれぽ

フィルムを喰らう!~感情中毒の巣窟~

こんな奴らに勝てるわけない。『RED/レッド』

こんな奴らに勝てるわけない。『RED/レッド』

あぁもう分かってるぅ!

映画は脚本とキャスティングの良しあしで決まると思い込んでいる筆者ですが、この作品はそのキャスティングが絶妙に美味い。そして、それを活かす脚本、というよりこの映画の場合はキャラづけですね。それが素晴らしい。勉強になるとか、考えさせられる、とかではなく、文句なしに「これ面白いから観て!」と友人に勧められ、その横で一緒に観られる作品です。

この『RED/レッド』のジャンルは、スパイ・アクション物です。劇中では銃撃戦などのシーンもありますが、同じジャンルの「ジャック・ライアン」シリーズや「ジェイソン・ボーン」シリーズと違い、真面目でも現実世界を思い出して暗い気持ちになるわけでもなく、ただただ面白おかしく楽しめる。いまこの稿を書いている間に劇中の爆笑シーンを思い出して、自然に笑みが浮かんでしまう。そんな正統派ポップコーン・ムービーです。

だからこの映画のお供にはお酒ではなく、ぽりぽり食べられるスナックにお茶かジュース。お酒だとしてもアルコール度数の低いビールくらいですかね。それを抱えてワハハと笑いながら楽しみましょう。

あらすじと見どころは

と、筆者ばかりが分かっていても仕方がないので、簡単にあらすじと見どころをご紹介しましょう。

まず主役は、元CIAエージェントのフランク・モーゼスです。世界を股にかけた凄腕スパイも今や昔。引退した彼の楽しみと言えば、年金事務所で働く女性・サラと電話で話すことくらい。

そんな彼が、ある夜襲撃を受けます。もちろん家の地下に隠していた武器などできっちり撃退するのですが、襲撃してきたのはなんと古巣のCIA。円満に引退したはずの自分がなぜ? と事件の裏を探る為、いまは老人ホームで暮らす元上司のジョーや、ちょっといかれた元同僚・マーヴィンの協力を求めて動き出すのですが……。

あらすじだけ聞けば、良くあるスパイ・アクション。けれど主役のフランクにブルース・ウィリス、元上司にモーガン・フリーマン、元同僚にジョン・マルコヴィッチなんて豪華メンバーを集めておいて、「良くある」もので終わるわけがない。

他にも元MI6の凄腕スナイパー、いまはB&Bのマダムのヘレン・ミレンが協力していますから、彼らに対する現役CIAクーパー役のカール・アーバンが可哀そうになるほど。ネタバレになりますが、黒幕の一人として出てくる副大統領など、雑魚にしか見えません。

見どころはそんな彼らの丁々発止、元スパイのあるあるネタな会話ですが、筆者が特にお気に入りなのは、フランクとクーパーのファイトシーンです。

クーパーを組み敷いたフランクが、「師匠は○○か?」と尋ねれば、痛みに呻きながらも「そうだ!」と闘志をむき出しにして答えるクーパー。それにフランクは「ヤツを鍛えたのは俺だ」と言いながら、クーパーの肩を外します。か~、容赦ない。だがそこがいい!

他にもこのジャンルありマス。

この映画と同じように、「熟年」が「がんばる(暴れまわる?)」映画やドラマは他にもあります。

例えば、「007」シリーズで主役を長年はったショーン・コネリー氏があのオードリー・ヘップバーンと共演した、『ロビンとマリアン』。ロビン・フッドとその恋人マリアンの「その後」を描いた作品ですが、颯爽としたロビン・フッドを演じるのではなく、城の塀をよじ登るのにも一苦労。「昔はこんなんじゃなかったんだけどね……」なんて腰をさすりながらぼやくコネリー様が素敵過ぎます。

日本にもありますよ。映画で言えば北野武監督の『龍三と七人の子分たち』、ドラマで言えば『三匹のおっさん』。

どちらも正統派ノワール・アクション映画やドラマで主役を務めたおじ様たちが、かつての自分をパロディ化するかのごとく、はっちゃけて演じています。にもかかわらず、さすが昔取った杵柄と言おうか、生涯現役と言おうか、地金が違うと言おうか。殺陣のシーンはそこらの若手アクションヒーローがはだしで逃げ出すほどびしっと決まる。カッコイイ。だから面白い。

若いイケメンもいいけれど、いぶし銀のおじ様たちが、あえてのパロディを楽しんで演じているこれらの作品も、どうぞ合わせてお楽しみくださいませ。

作品情報

原題:『RED』
出演者:
監督:
原作:『RED』Warren Ellis著
シリーズ:『

ABOUT THE AUTHOR

Hiro Miyama
はじめまして。作家兼ライターの海山ヒロ(みやまひろ)と申します。

物心つく前から映画好きの両親に連れられ、映画館へ。そして家族のだんらん時に見ていたのは、各放送局の洋画劇場でした。おかげでしっかり映画好きに育ったわたしは、今日もまた、世界の片隅で映画への愛をこうしてつづっています。

ついつい口ずさみたくなる様な音楽に、悲喜こもごもの物語。そして素晴らしい衣装や舞台装置に夢のような風景が詰まった映画は、総合芸術です。
そんな数々の名画達に出会うお手伝いを、すこしでも出来れば嬉しいです。
Return Top