むびれぽ

フィルムを喰らう!~感情中毒の巣窟~

それは神か真か新しいなのか。エヴァの庵野監督だから撮れた『シン・ゴジラ』

それは神か真か新しいなのか。エヴァの庵野監督だから撮れた『シン・ゴジラ』

ついにアンノがゴジラを創った!

戦後すぐの日本で登場して以来、本国日本のみならず、世界中を魅了し続ける「」。それをついに、エヴァンゲリオンの庵野監督が作ってしまいました。東宝ゴジラシリーズの正統な後継作として、『 FINAL WARS』から時を経ること12年。シリーズ29作目にあたります。

著者は映画ファンとはいえ、特撮物を特別好んでいるわけではありませんが、この作品は公開されてすぐ映画館で観ました。庵野監督作品であることが、理由の一つ。もうひとつは、公開されるや様々なメディアで話題になっていたからです。

あらすじを簡単にご紹介しますと、東京湾の湾岸線で陥没事故が発生。原因と対策を協議していた政府の会議に、「巨大生物現る!」という緊急速報が入ります。首相や閣僚たちは「そんな馬鹿な」と鼻で笑っていましたが、会議室の大スクリーンに映し出された海から飛び出してきた巨大な尻尾に、言葉を失います。どう対処すべきかと彼らが「協議」している間に、謎の生物は東京に上陸。逃げ惑う人々をしり目に破壊の限りを尽くした後、何故か一度海中へと消えていきます。

あの生物は必ずまた襲ってくる。会議と根回しばかりしていた政府もやっと重い腰をあげ、自衛隊を動員した迎撃作戦展開しようとするのですが……。

庵野カラーが目白押し

映画は冒頭から庵野カラーが目白押しです。音楽もそうですし、カメラワークや画面の色調、そして何よりゴジラ自身も。ネタバレになりすぎるのでどんなものか具体的には書けませんが、ソレが姿を現した瞬間、度肝を抜かれました。ついで、気持ちが悪くなりました。

登場人物も「キャラが立った」人々ばかりで、特にアメリカ政府から派遣されてきたお嬢さんは「あ~こんな人エヴァにもいたな~」と思わずつぶやいてしまいました。またゴジラ撃退の「ヤシオリ作戦」の名前には、エヴァの「ヤシマ作戦」が思い出されて、微笑ましくなりました。

虚構(フィクション)であってもリアル

とは言え、この映画はアニメっぽくも、嘘っぽくもありません。目の前に問題があるにもかかわらず、会議や責任の投げ合いをする閣僚の姿にはとてもリアリティを感じましたし、それに対して「現場」が奮戦するところも現実味があり過ぎて、泣きたくなるほど。恐らくゴジラが本当に日本に現れれば、この映画のような状況に陥る事でしょう。

我々人間は、運よく食物連鎖の頂点に収まり地球を「支配」しているかのようなふるまいをしていますが、個体として見ればとても脆弱な生き物です。

集団となって、お得意の「化学兵器」を使ってもゴジラのようなタタリ神には太刀打ちできない。でもだからこそ、立ち向かおうと努力し続ける人々が、彼らと生きるこの一瞬が、いとおしい。な~んて、特撮物を観ているはずなのに感傷的な思いに駆られてしまうのも、庵野監督作品ならではでしょう。

「この物語はフィクションです」

さて。このように著者は大満足のこの映画ですが、やはり「この展開はおかしい」「こんなの科学的にありえない」という感想(突っ込み)もあります。

庵野監督作品のようなディープかつコアなファンを持つものに良く見られる現象であり、深い愛ゆえの行為なのかもしれませんが……いいではないですか。ストーリ展開がおかしいところや「科学」的に説明がつかず、突っ込みどころ満載でも。「この物語はフィクション」なのですから。

面白くない、あわないと感じたら、観なければいいんです。著者がそれらの感想欄を見るのを、途中でやめた様に。そして意見を求められたら「わたしはこう思う」「私には合わなかったな」と答えるにとどめましょう。

その映画が面白くない、納得がいかないと言うのは、あくまで「あなたの」意見。他の人にとってみれば面白いかもしれませんし、そもそも虚構のモノだと予め断っている映画に「真実」を求める方は多くないと著者は思います。むしろ、「現実」から一時逃れるために荒唐無稽だからこそ見ているのだという方だって、おられるでしょうから。

映画は楽しむものです。批評するのも突っ込むのも楽しみ方の一つではありますが、それも過ぎれば美しくはありませんし、なにかを声高に罵る人間は、周りを不快にさせます。面白くすばらしい作品は、温かい励ましと惜しみない称賛の中からこそ生まれる。あなたもそう思いませんか?

作品情報

出演者:
監督:(総監督)、(監督・特技監督)
シリーズ:『』シリーズ 東宝製作

ABOUT THE AUTHOR

Hiro Miyama
はじめまして。作家兼ライターの海山ヒロ(みやまひろ)と申します。

物心つく前から映画好きの両親に連れられ、映画館へ。そして家族のだんらん時に見ていたのは、各放送局の洋画劇場でした。おかげでしっかり映画好きに育ったわたしは、今日もまた、世界の片隅で映画への愛をこうしてつづっています。

ついつい口ずさみたくなる様な音楽に、悲喜こもごもの物語。そして素晴らしい衣装や舞台装置に夢のような風景が詰まった映画は、総合芸術です。
そんな数々の名画達に出会うお手伝いを、すこしでも出来れば嬉しいです。
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