むびれぽ

フィルムを喰らう!~感情中毒の巣窟~

おとぎ話を現代的にアレンジした『スノーホワイト』

おとぎ話を現代的にアレンジした『スノーホワイト』

童話を現代的に描き直す

白雪姫。世界中で知られているグリム童話ですね。雪のように白い肌、黒檀のような黒髪、血のように赤い唇を持つ美しいお姫様が、悪い継母にねたまれ森に捨てられ、命を狙われ、毒りんごで死んだけれど王子様のキスで生き返るおとぎ話。著者も子供時代には絵本で、育ってからは原本に近い形といわれる残酷バージョンを読んだことがあります。

けれど子供のころから、お姫様にも王子様に救われるストーリーにも心を躍らせた事がありませんでしたから。白雪姫のお話自体を「人を簡単に信用してはいけない」という教訓物語としてとらえていましたし、舞台に映画にといままで幾度も実写化されてきた物語でもありますから、『トワイライト』で有名になったクリステン・スチュワートが主演のこの映画には、正直期待していませんでした。

そして実際に観た感想を一言で言えば、「童話を現代的に描き直すとこうなるのか」。です。

闘うお姫様

『スノーホワイト』の主役・白雪姫は、闘うお姫様です。童話と同じく美しい容姿を持ち、鳥や蝶と戯れるシーンもありますが、全身鎧に身を包み、馬に跨り、自分を殺そうとした悪い魔女である女王ラヴェンナを自ら倒しに行きます。
森で7人の小人と暮らしながら、王子様を待つような大人しさも呑気さもありません。

彼女のお供は、狩人のエリック。彼は腕の立つ猟師でしたが妻を亡くした悲しみで飲んだくれ、ラヴェンナに雇われて白雪姫を殺しに森へと入ってきたのですが、紆余曲折あって味方になりました。

エリックを演じているのは、『マイティ・ソー』のクリス・ヘムズワース。相変わらずの筋肉美と太い美声で、「全体的に頼りなくナヨっとした王子様より、エリックの方がカッコよくない?」と思わせる男ぶり。実際、白雪姫のピンチを何度も救い、彼女といい雰囲気にもなります。

自立したお姫様と名より実のある男のペア。うん。実に現代的な構図ですね。

現代のおとぎ話 は

この作品で現代的なのは狩人とお姫様だけではなく、悪い魔女もそうです。演じているのが、美人女優の代表ともいえるシャーリーズ・セロン。魔法の鏡と対をなすような金色の衣装をまとう彼女は、ため息を飲みこむほど美しい。

にもかかわらず、魔法の効力が弱くなって老いた姿も、攻撃を受けてタールのようなものにまみれた姿も余すところなく見せるのですから、見上げた女優魂です。

そして、映画の主役はあくまで白雪姫であり、ラヴェンナは王国を乗っ取っているわけですから討たれるのは仕方がないとしても、「彼女にも理由があったんだよ」と同情したくなるところまで、現代風。

だからでしょうか。続編の『』では、彼女とその妹であるフレイヤ、そして狩人エリックの死んだはずの妻(続編では恋人)サラの3女性が、活躍しています。

うん。おとぎばなしが世相を反映して形を変えるのはよくあることです。そして現代社会に生きる少女たちには、森で王子様をただ待つのではなく、自分で幸せをつかみに行くこの映画の方が、役に立つし楽しめるのではないでしょうか?

作品情報

原題:『Snow White & the Huntsman』
出演者:
監督:
シリーズ:『
原作:『白雪姫』グリム兄弟著

ABOUT THE AUTHOR

Hiro Miyama
はじめまして。作家兼ライターの海山ヒロ(みやまひろ)と申します。

物心つく前から映画好きの両親に連れられ、映画館へ。そして家族のだんらん時に見ていたのは、各放送局の洋画劇場でした。おかげでしっかり映画好きに育ったわたしは、今日もまた、世界の片隅で映画への愛をこうしてつづっています。

ついつい口ずさみたくなる様な音楽に、悲喜こもごもの物語。そして素晴らしい衣装や舞台装置に夢のような風景が詰まった映画は、総合芸術です。
そんな数々の名画達に出会うお手伝いを、すこしでも出来れば嬉しいです。
Return Top