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フィルムを喰らう!~感情中毒の巣窟~

ディズニー映画が苦手な人にもお勧めしたい『ズートピア』

ディズニー映画が苦手な人にもお勧めしたい『ズートピア』

ディズニー映画が苦手な人にも

白状すると、著者はディズニー映画が苦手です。ディズニーが出資している映画は沢山見ていますが、ディズニー映画そのものはほとんど見たことがありません。なにせ日本でも大ヒットした『アナと雪の女王』でさえも、先日テレビ放映していたものを半分だけ見て、やめたくらいですから。

もちろん、良い映画を作りつづけていることは知っていますし、ディズニーで使われている英語は発音もいい回しも、美しい。なにしろ子供の英語教材として進められるくらいですから、Fではじまるスラングなど絶対に出てこない。そして音楽も映像も、素晴らしいの、ひとこと。

安心して、家族全員で楽しめて、キャラクター達が困難や挫折を味わう事があっても、最後に必ず報われる―――だから、苦手でした。そのキラキラしいまでの明るさが。何処まで行っても「おとぎばなし」としか思えなくて、好きになれませんでした。

そう、「でした」。つまりは過去形になったのです。この『ズートピア』のお陰で。

擬人化されてもリアルな動物達

『ズートピア』は、動物たちが主役のアニメ映画です。動物が主役のディズニー映画はこれまでいくつも作られてきましたが、動物がスーツやジーンズに身を包み、街まで作っているのは、この作品が初めてです。

さらに特徴的なのは、動物の縮尺が自然のままであること。著者はこれをブルーレイで観たのですが、特典映像によれば「よりリアルな」作品にするべく、アニメーターたちはアフリカまでリサーチに言っていました。さすがはディズニー。

お陰で映画に出てくる動物達は、擬人化されているにもかかわらず、驚くほど「リアル」です。主人公は、ウサギのジュディとキツネのニック。ジュディは何かを探る時にウサギらしく鼻をひくひくさせますし、ニックは「悪賢い」笑みを浮かべています。

二匹は被捕食者と捕食者というだけではなく、警官と詐欺師という水と油な立場にありましたが、成り行きで一緒にいるうちに、息の合ったバディになっていきます。そのストーリーの巧みさも、さすがはディズニーと唸らされます。

だから、面白い。

物語はニックとジュディの凸凹コンビが失踪事件を解決し、更には真の黒幕も捕まえてめでたしめでたしの王道展開を見せるのですが、けれどこの作品には一方的な「悪者」も「被害者」も出てきません。

弱者の代表のように思えるウサギのジュディでも、策を弄してニックを仲間に引き込み、悪役も罠にかけます。さらにはそれを満面の笑みで自慢します。

そして「キツネらしく」詐欺師に身をやつしていたニックも、子供のころはボーイスカウトにあこがれる純真さを持っていましたし、劇中の暗黒街のボスMr.ビックは手のひらサイズのオポッサム。ちなみに部下は大きな白クマです。

つまりこの映画は、観ている我々が無意識に持っていた思い込みをことごとく壊してくれるのです。痛快に、爽快に。だから、面白い。だから、最後はちょっとほろりとさせられてしまう。家族みんなでも、おひとり様でも、ディズニー映画が好きな方も、苦手な方も楽しめる映画なのです。

という訳で、しつこいですがもう一度書きましょう。さすがはディズニー。やってくれるわ。

作品情報

原題:『Zootopia』
出演者(声):
監督:

ABOUT THE AUTHOR

Hiro Miyama
はじめまして。作家兼ライターの海山ヒロ(みやまひろ)と申します。

物心つく前から映画好きの両親に連れられ、映画館へ。そして家族のだんらん時に見ていたのは、各放送局の洋画劇場でした。おかげでしっかり映画好きに育ったわたしは、今日もまた、世界の片隅で映画への愛をこうしてつづっています。

ついつい口ずさみたくなる様な音楽に、悲喜こもごもの物語。そして素晴らしい衣装や舞台装置に夢のような風景が詰まった映画は、総合芸術です。
そんな数々の名画達に出会うお手伝いを、すこしでも出来れば嬉しいです。
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