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フィルムを喰らう!~感情中毒の巣窟~

ダンテの『神曲』に隠された謎を解き、パンデミックを阻止せよ。『インフェルノ』

ダンテの『神曲』に隠された謎を解き、パンデミックを阻止せよ。『インフェルノ』

今度の敵は現代と未来の使者

キリストの隠された系譜の謎を追って、パリからロンドンへと飛んだ『』。未来の教皇を救うべく、ローマの街を走り回った『』。ラングドンシリーズ三作目となるこの『』ですが、そんな前二作とは少々展開が異なります。

前二作の敵。ひとつはキリスト教の秘密結社、ひとつはルネッサンス時代に結成された科学者の秘密結社という、いわば、過去からの亡霊。しかし本作の敵は、現在と未来の使者。人口爆発を憂えた生化学者が生み出した、人口の半分を死に至らしめる未知の病原菌です。

もちろん象徴学者のラングドン教授が関わるわけですから、彼の得意分野である謎に満ちた美術品も出てきます。今回の謎解きのヒントが隠されているのは、詩聖ダンテが書いた『神曲』の『地獄編』。原語のイタリア語では、。そう、本作品のタイトルでもある詩と、その詩に着想を得たボッティチェリが描いた絵です。

詩聖が語った地獄

なにせキリスト教徒が人口の1%しかいない日本ですから、『神曲』に『地獄編』と言われてもピンと来ないかもしれません。もしかしたら筆者のダンテ、イタリアのみならずキリスト教圏であれば大抵の人が知っている超有名人に関しても、「あ~なんか、歴史で習ったような……で、誰?」という印象しかないかも。

ダンテは詩人として知られていますが、元はフィレンツェで政治活動をしていました。が。政争に敗れ、故郷を追われて流浪の身に。その漂泊の日々に書き始めたのが『神曲』であり、中でも『地獄編』は、「この門をくぐるものは一切の望みを捨てよ」なんて言葉から始まります。

そんな詩を元に描かれた絵がどんなものかは、推して知るべし。当時の善男善女を恐怖のどん底に叩き落とし、お陰で教会に通う人が増大したとか。

パンデミックを阻止せよ

そんな『地獄編インフェルノ』と、現代生化学の結晶である病原菌。この二つの恐怖がまじり合い、前二作と比べると本作はホラーテイストな作品となっています。しかも頼みのラングドン教授は、事故のせいで記憶混濁中。自分がなぜ物語の舞台であるフィレンツェに居るのかも、解らない状態です。これもまた、前二作にはなかった展開ですね。

麻酔でふらふらのラングドン教授は『地獄編』に隠された謎を解き、パンデミックを引き起こす病原菌を見つけることができるのでしょうか? そもそも彼は何故、フィレンツェに?

さぁ皆さん。ラングドンシリーズではもはやお馴染みとなった観光名所、フィレンツェのヴェッキオ宮殿やヴェネツィアのサンマルコ寺院の素晴らしい映像を堪能しつつ、教授と一緒にノンストップのクエストに出かけましょう。さらに本作では、今まで語られなかったラングドン教授の過去についても描かれますから、そちらもどうぞお見逃しなく。

作品情報

原題:『Inferno』
出演者:
監督:
シリーズ作品:『』『
原作:『』ダン・ブラウン著

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Hiro Miyama
はじめまして。作家兼ライターの海山ヒロ(みやまひろ)と申します。

物心つく前から映画好きの両親に連れられ、映画館へ。そして家族のだんらん時に見ていたのは、各放送局の洋画劇場でした。おかげでしっかり映画好きに育ったわたしは、今日もまた、世界の片隅で映画への愛をこうしてつづっています。

ついつい口ずさみたくなる様な音楽に、悲喜こもごもの物語。そして素晴らしい衣装や舞台装置に夢のような風景が詰まった映画は、総合芸術です。
そんな数々の名画達に出会うお手伝いを、すこしでも出来れば嬉しいです。
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